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2012/03/09

能楽鑑賞会事前講座


 わたしの本務校の附属中学校では、2年次には歌舞伎の3年次には能・狂言の鑑賞会が開催され、国語科に能のお好きな先生がいらっしゃったこともあって、ここ数年、事前講座と銘打って1時間ほど能の入門的なことと鑑賞予定の作品の見どころなど好き勝手にお話しています。先月もその講座があり(曲は「葵上」)、iPad2で華麗にプレゼンする気満々で、かなり気合いを入れてパワーポイントの資料を作っていったのに、会場備え付けのケーブル接続端子の不具合でスクリーンがいきなり暗くなり、用務員さんが替えのケーブルを持ってすっ飛んでくるという非常事態に(笑)。そんなトラブルで些か気勢を削がれましたが、気を取り直して、泥眼の写真を三枚並べて「この三人(?)の中で一番プライドが高そうな人は?」「じゃあ、一番嫉妬深そうな人は?」と生徒達に手を挙げさせたり、また好き勝手やって帰ってきました。

 そして先日、そのときの感想が6クラス分届きました。「土曜日にわざわざ能楽堂に行くなんてイヤだと思っていましたが(←素直でよろしい)、先生のお話を伺って楽しみになりました」的なお行儀の良いコメントがちらほら(笑)。書かれている内容で多かったものは、

1:いきなり「眠くなったら寝ても構わない」といわれたのでびっくりしたが、それでちょっと気が楽になった。
2:「能はぼーっと見ていたら退屈かも知れないけれど、妄想力をはたらかせて見るといろいろな発見がある」という先生の言葉が印象的だった。言葉がわからなくてもあれこれ妄想しながら見ればいいのだと安心した。
3:「五人囃子」が能と関係があることがわかってよかった。
4:同じ泥眼の面でもずいぶん表情が違い、演じたいイメージによって使い分けるのが面白い。
5:般若が女の鬼で、怒りや恨みだけではなく、悲しみの気持ちを秘めていることを初めて知った。

などなど。中にひとり「幽霊の"うらめしや"のルーツが能だとわかって面白かった」と書いてきた子がいて、えっ、そんな話をした覚えはないけど?と一瞬思ったのですが、よく考えたら「枕之段」の映像を見せたのでした。「わらはは蓬生のもとあらざりし身となりて。葉末の露と消えもせば。それさえ殊に恨めしや」・・・そうくるか(笑)。


 でもまあ、その子なりに関心を持ってもらえたようで何よりでした。願わくは、あと4年後にわたしの能の授業を取って能の豊かな世界に触れてくれる学生が少しでもいてくれるといいのですが。