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2012/07/30

国立能楽堂公開講座のご案内

暑い日がつづいていますが、皆さん無事お過ごしでしょうか。

さて、来る8月24日(金)午後4時より、国立能楽堂公開講座でわたくし小秋元が、「『義経記』と室町時代の義経伝承」と題する話をいたします。今日でこそ、『義経記』はそこそこ知られた古典といえますが、室町期には読まれた形跡があまり見られません。この作品は近世初頭、出版文化の開花とともに流布するようになったと考えられます。室町時代の義経伝承を考える際には、まずこのことを念頭に置く必要があると感じています。そんなことを起点に2時間、お話をする予定です。

応募方法等については、国立能楽堂のサイトをご覧ください。
http://www.ntj.jac.go.jp/assets/files/nou/pdf/20120529_chair_schedule.pdf

2012/07/19

プリンストンからの贈り物

今日の午後の山中ゼミは、いつもと趣向を変えて、アメリカのプリンストン大学から能研に短期留学中のパトリック・シュウェマーさんによる研究発表が行われました。

プリンストン大に所蔵されている新出の舞曲絵巻「相模川」を紹介して、その描写の特徴や製作背景を考察するという内容で、詞書の筆者が朝倉重賢であること、画風から十七世紀後期の作と考えられること、「相模川」を絵巻化した作例としては現存唯一のものであることなど、スライドショーを効果的に使って手際よく、ご報告いただきました。

聴講の学生も興味津々。今回は、文学部の小秋元・伊海両先生のほか、慶應義塾大の石川透先生にも特別においでいただきました。

シュウェマーさんのお話しは「相模川」絵巻にとどまらず、ポルトガルの宣教師が十六世紀末に書いた和訳聖人伝の文体が舞曲調であることなど、広く舞曲の文芸的展開を視野に入れたもので、今後の展望が大きく期待される内容でしのたで、聴講の学生も大いに刺激を受けたようです。
また、シュウェマーさんにとっても、奈良絵巻の第一人者である石川先生から直接アドバイスを受けるいい機会になり、研究発表が終わった後も、しばらく絵巻談義で盛り上がっていました。

シュウェマーさんは九月まで能研の客員研究員として滞在の予定です。これを機に、シュウェマーさんの研究がますます発展することになれば、能研のスタッフとして、こんなにうれしいことはありません。

今年も「法政学」!

少しアップが遅くなってしまいましたが、6月の末、今年度も学部学生対象の授業「法政学への招待」に参加いたしました。大原社会問題研究所、沖縄文化研究所、能楽研究所、の3研究所がどのような経緯で大学内に作られ、どのような活動をしているか、それぞれ持ち時間20分あまりで説明する、というものです。写真は、能研の歴史と、それから宝物の一つ『二曲三体人形図』がどんな紙にどのように描かれているかを説明しているところです(もちろん、本物を振り回しているわけではありません)。

今回は、能研の活動の一部(前回ご紹介した表先生の特別講義や、毎年秋に行っている能楽セミナー)をポッドキャスティングの形で公開している、という点に感動してくれた学生さんがいて、アンケートにも「ポッドキャスティングなんてやってるんですね。さすが能研!」なんて書いてくださって、嬉しかったです。文学の研究者たちは一般的にこういう活動には冷淡なので、ときどきむなしい気持ちになりますが、若い人たちに喜んでもらえると、「やって良かったな」と思います。

今のところ、能楽セミナーや表章教授特別講義は、itunes ストア の ほか、法政のITセンターの
サイトからもダウンロードできます。表先生の特別講義は、前回のお知らせ通り、you-tube でも見られます。 どうぞ、ご覧になってみてください。

授業のときにも言いましたが、能研はこれからもっともっと、学部の学生さんたちとのつながりを作っていきたいと考えています。法政の卒業生が社会に出て、何かのときに「能? 特に詳しく勉強したわけじゃありませんが、法政にいましたから、まぁ、能のことは知ってますよ」なんて、つぶやいてくれたら、最高です。

2012/07/12

「表章氏能楽特別講義」が視聴できます

能楽研究所元所長、法政大学名誉教授の故表章先生(1927~2010)が、2008年の2月~3月にかけ3回にわたって、能楽論研究・能楽史研究・作品研究の研究史を語る特別講義をなさいました。その様子が、youtube で視聴できるようになりましたので、お知らせします。
能楽研究所では法政大学情報技術(IT)研究センターと協力し、この講義の録画にキャプションや資料の画像挿入等の編集作業をおこないました。同センターのウエブサイトやiTunesのコンテンツサイトからも同じものが視聴できましたが、今回、youtubeからも簡単に見られるようになりましたので、お知らせします。

 なお、各巻の編集作業は、 

 第1巻(能楽論研究)伊海孝充・高橋悠介
 第2巻(能楽史研究)江口文恵
 第3巻(作品研究)中司由起子

の各所員が、中心になっておこないました。


 
 
 

2012/07/08

神奈川県立金沢文庫で解脱上人貞慶展、開催中

神奈川県立金沢文庫で、「御遠忌800年記念特別展 解脱上人貞慶―鎌倉仏教の本流―」が開催されています。

貞慶は鎌倉時代前期に奈良で活躍した学僧で、興福寺において法相の学を修め、春日明神や釈迦、弥勒への信仰を深めました。一般にはあまりなじみがありませんが、まさに「鎌倉仏教の本流」と呼ぶにふさわしい人物といえるでしょう。そうした貞慶の学問と信仰を知る素晴らしい展示です。

なお、本展示は、4~5月に奈良国立博物館で開かれた特別展を引き継ぐもので、出品された資料は多く重なります。奈良へ行けなかったあなた、ぜひ金沢文庫へ。


→もうここを、地井さんが散歩することはないのだなぁ(/_;)