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2011/12/12

現代能楽論/身体表現論

 能楽研究所では大学院人文科学研究科日本文学専攻と協同で、能楽研究者育成プログラムをおこなっています。能楽の研究をめざす人はもとより、資料の保存や能楽の普及に携わる人材、能楽の魅力を広く世界に発信してくれる人材を育てるのが目標です。
 「現代能楽論」はこのプログラムの目玉科目の一つです。第一線で活躍中の能楽師や評論家とともに、現代に生きる能楽の諸相や課題を知ろうという目的で始めたものですが、数年前から、理系の大学院であるシステムデザイン工学科の学生も「身体表現論」という別の名前の科目として、受講できるようになりました。
 後期だけ、2単位の科目ですが、途中に2回、能楽堂での実習があるのが特徴です。きょうは2度目の実習で、神楽坂の上にある、矢来能楽堂に出かけました。
 足袋に履き替え、9時半集合。遅刻もありません(すごい!)。謡の稽古、能舞台の説明等のあと、実際に能舞台に上がって、カマエやハコビ(すり足での歩行)、基本的な所作を習います。

初めはガチガチに固まっていた身体も先生の的確なアドバイスで徐々に能らしくなってはいくのですが、でも、なかなかむずかしいようです。

これは「シオリ」という、悲しみを表現する所作です。こういう方が、歩くより上手でした。

続いて、貴重な装束を実際に手にとり、羽織ったり身体に巻き付けてみた後、きちんとたたんで元のようにしまう、という実習です。今日はひときわ丁寧に、一つ一つの装束についての説明があり、学生も熱心に耳を傾けていました。以下、写真を並べます。取り出して、開いて、羽織って、互いに文様を見せ合って、たたむ、です。



2011/12/05

芸能の「移動」と「交流」




先週の土曜日、能楽研究所と芸能史研究会との共催により、「芸能の「移動」と「交流」」というテーマの研究会が法政大学で開催されました。



落語や歌舞伎がご専門の今岡謙太郎氏による「幕末における落語家の東西交流」、そして、見世物研究の第一人者でいらっしゃる川添裕氏の「移動・交流への三つの視座」というお二人の基調報告に続いて、中川桂氏(落語や興行史研究がご専門。私のよき先輩でもあります)の司会によるディスカッションが行われました。写真はそのディスカッションの様子。



江戸後期の諸芸能のうち、落語家と見世物興行の事例を中心に、東西間あるいは異文化間の「移動」と「交流」がどのように行われていたのか、その実態を検証するという、ちょっとマニアックな内容でしたが、観客を求めて「移動」しなければならないという「芸能」の本質を浮き彫りにした、大変示唆に富んだ研究会でした。



翻って能楽の例を考えると、江戸時代の能楽師は幕府や藩に抱えられていましたから、藩主や将軍とともに移動することはあっても、観客を求めて「移動」することはありませんでした。その意味でも、江戸時代の能楽師が置かれていた環境が、きわめて特異だったということを再認識したのですが、こうした再発見にこそ、分野の異なる研究に触れる醍醐味があるといってもいいかもしれません。それだけに、能楽の研究者がほとんど出席していなかったのは残念でした。






2011/12/02

続・法政学への招待






法政大学では自校教育として、「法政学への招待」という学部生向けの授業が設けられています。
「法政大学ってどんなとこ?」というのを、いろんな先生が分かりやすく、オムニバス形式で紹介するというもので、今回は法政大学にある三つの研究所(能楽研究所・沖縄文化研究所・大原社会問題研究所)がテーマでした。
能研の担当は山中玲子所長。僅か二十分の持ち時間ながら、パワーポイントを使って手際よく、能研の概要を紹介。能研のことを知っている筈の私も、「なるほどそうだったのか」と思うことがしばしばでした。自分の身近にあるものについては、意外と何も知らないものです。
今回の受講生も、法政に能研があることを、この授業で初めて知った人が圧倒的に多かったのではないでしょうか。


これを機に能研の存在を認識し、能狂言に少しでも関心を持ってもらえればと思った次第です。



追記


投稿した後で、山中所長が同じタイトルで投稿しているのに気付きました。風邪のためのウッカリということでご勘弁いただき、とりあえず私の投稿はそのままとさせていただきます。皆さん手洗い・うがいをしっかりして風邪には気を付けましょう。