Twitter Facebook Feed

2011/11/30

法政学への招待


今年度から始まった、法政大学の自校教育「法政学への招待」。昨日、29日は、法政に古くからある3つの研究所を紹介する日でした。同じボアソナードタワーにあり、いろいろと関連も深い沖縄文化研究所、それから多摩キャンパスにある大原社会問題研究所と、能研の所長3人が、それぞれ20分ずつ(時間オーバーの先生もいましたが)、研究所の歴史や活動内容を紹介しました。
20分という限られた時間でどれだけ能研のことを伝えられたか判りませんが、学生の感想や質問は、おおむね好評。どの研究所についても「法政にこんなことをやっている研究所があったんですね。知らなかった…」という驚きと、「在学中に行ってみたい」「もっと学部生にも宣伝すればいいのに」「能(沖縄・労働問題etc.)に興味を持った」などなどのコメントがありました。
能研に関する質問の中には「能装束はごわごわしているように見えますけれど、糊がきいているんですか?」とか、「失礼ですが能よりも狂言や歌舞伎の方が面白いと思います。どうしてそっちの研究所じゃないんですか?」とか、「うっ」と答えに困ってしまうものも。「重要文化財(吉川家旧蔵の車屋謡本です)があるんですね。是非見てみたいです!」というような感想もありましたが、重要文化財だとなかなか簡単には出せないので、「何だ、タカビー!」と思われるかもしれないな、とかえって心配になってしまいました。
能研は敷居が高いかもしれないし、せっかく来ても古い資料があるだけですが、とりあえず、BTの23階まで上がってくるとこんなに眺めがいいよ、ということで、最後に見せたのが上の写真です。そうしたら、「あの夜景の美しさに感激しました。いつ頃の季節の何時頃にどこで撮影したものですか?」という質問があって、これには爆笑。
能研の資料を手に取ることはなくても、いろいろな学部の学生が「へぇ、法政には能研があるんだ」と知って、それをきっかけに能を見たり、ちょっとでも能のことに興味を持ってくれたら、とってもウレシイと思います。

2011/11/29

「愛染明王」展に行ってきました

神奈川県立金沢文庫で開催されている「愛染明王―愛と怒りの仏―」展に行ってきました。

この展示は、同文庫学芸員で、能楽研究所の客員研究員も務めてくださっている高橋悠介さんが手塩にかけて準備したもので、噂に違わず見応えのある内容でした。真っ赤な身体に憤怒の形相を帯びた愛染明王の信仰は、院政期より盛んになるそうです。なるほど、中世を学ぶうえでぜひ押さえておきたいものです。

本展示では、図像、彫像、関連資料を多数出陳し、愛染明王の世界を体系的に示してくれています。会期は12月4日まで。急ぎましょう! 今日も平日であるにもかかわらず、多くの「歴女」ならぬ「仏女」が熱心に資料に見入っていました。

2011/11/11

東京古典会



今日から東京古典会の大入札会が始まりました。
古典会創立100周年を記念する会とあって、今回はなかなか逸品揃い。是非ほしいけれども、能研の限られた予算ではどうにも届かないものも多く、なんともはがゆいところですが、能研でもいくつか入札を検討しています。戦果は追ってご報告します。

夏の七夕古典会では、光悦謡本と同様の雲母刷料紙を用いた八十島道除(朝倉家臣の出で、後藤堂高虎の右筆となった人物。書家として有名)筆『今川壁書』に入札しましたが、あと一歩のところで及ばず。
後で知りましたが、これには兼担所員の小秋元先生も札を入れられたものの、そちらもダメだったそうで、同じ戦で二度までも敗れたことになります。ところが、その後、京都の古書店の目録に、同じ八十島道除筆の貞永式目が挙がっているのを偶々目にし、能研で購入することができました。しかも、こちらには雲母刷の年代を推定する重要な手がかりとなる、八十島道除の年齢まで書いてあるのが特筆され、獲物を逃してがっかりしていたら、後からもっといい獲物をとらえることができた、といったところでしょうか。

写真は古典会とは関係ありませんが、先日行われた能楽セミナーの第二回目のものです。今回も盛況で90名をこえる来場者がありました。次回は14日の月曜日に行われます。最近『切合能の研究』という著書を出した新進気鋭の研究者、伊海孝充さんが登壇します。乞御期待。