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2011/08/26

ちょっと新しい研究



 8月8日の世阿弥忌セミナーで、ここ数年来、工学系の先生たちと協力しておこなっている文理融合研究の中間発表をしてきました。下にアップしたのはその研究成果の一部です。画面の黒装束の人形は、能「鶴亀」の仕舞を舞っています。これは、能役者のかたに鶴亀を舞って頂いてそれをCGにしたのでは「ありません」。そうではなくて、サシ・ヒラキ・左右etc. 能の所作単元を別々に(鶴亀とは関係なく)撮影してデータベースにしておき、型付に出てくる順番に引用して合成したものです。まだ、いろいろと変なところはありますが、何度も試行錯誤を重ねた結果、とても高いソフトを使えばこのぐらいまで復元できることが判りました。



今、誰もが簡単にこうした合成作業ができるようなビューアの作成に向けて研究を進めています。この研究が目指しているのは次のようなことです。



1)型付に記されている情報だけを頼りに、こうした技術でできるかぎり正確に復元した舞と、実際に能役者が舞う舞をくらべ、型付に記されてはいないけれど能役者が自然に身につけている、所作単元と所作単元をつなぐ部分の知恵を明らかにする。



2)今まで解読がむずかしかった古い型付資料の解読にこのツールを利用する。資料に出てくる所作単元をつなぎ、1の作業で得た知識を使いながら、古い演出をある程度復元することは可能なはず。



以上、ちょっと新しめの研究のご紹介でした。