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2012/09/20

世阿弥忌セミナー

少し前のことになってしまいましたが、八月に行われた世阿弥忌セミナーについてのご報告です。

八月八日は世阿弥の忌日にあたるため、毎年その日に合わせて奈良で世阿弥忌セミナーという能楽学会の催しが行われています。

今年は『世子六十以後申楽談儀』をテーマに、研究発表四本と対談があり、能研の山中さんも対談の聞き手として登壇しました。

その対談、「能役者と『申楽談儀』」というタイトルで、観世銕之丞氏が『申楽談儀』に出てくる様々な曲の演じ方についての記事を取り上げ、演者ならではの解釈を披露するという、興味深いものでした。

『申楽談儀』には、節訛りや節扱いに関して、個々の曲に則した実に具体的な記事が多くみられます。けれども、研究者にはなかなか手に負えないこともあって、これまで十分に検討されていません。今回の企画は、『申楽談儀』を読むうえで、そうした演者と研究者との共同研究が不可欠であることを明らかにした点でも有意義だったと思います。欲を言えば、対談形式ではなく、少人数による輪読形式の方が議論が深められたかな、という感もありますが、それは今回の催しではないものねだりというもの。でも、いつか能研でそのような場を提供できればとひそかに考えた次第です。

2012/09/14

着々準備中


以前にも少しお知らせしましたが、今年の秋、11月には、能の所作を考えるワークショップとシンポジウムを行います。

★ワークショップ「江戸初期型付に基づく実験的復元」

11月15日(木) 午後6時~午後8時30分   青山の銕仙会能楽研修所 
 
  タイトル通り、江戸時代初期の金春流型付を元にして、〈田村〉〈千手〉〈自然居士〉〈山姥〉の当時の舞(クセ・キリなど一部)を実際に復元し、能楽師の方に舞っていただくというものです。古型付には独特の用語や記述法があります。我々は2年間にわたって毎月研究会を開き、当時の舞がどのようなもので、それをどういうルールで記述しているのかを追究してきました。まだ判らないこともたくさんあるのですが、今回はできるだけの資料を揃えたうえで、このような研究に理解のある、演者の協力を仰ぎ、資料から読み取れる動きを舞台上で実際に演じて頂きます。
 
  どうしても資料通りでは動けないところもあるかもしれません。その場合は、どうして動けないのか、演者の方の説明を聞き、考えます。掲載した写真は、こちらで揃えた資料をもとに、演者と担当者が侃々諤々の議論をしているところです。3時間半も続いていました!
  
 
 近日中に、詳しいお知らせをアップします。平日の夜の開催ですが、場所は青山(表参道駅徒歩3~4分)の銕仙会舞台。参加費は無料です。是非是非お誘い合わせのうえ、お越しください。


★シンポジウム「能の所作を考える―通底するもの・際だつもの」

11月18日(日) 午前10時~午後5時30分  法政大学市ヶ谷キャンパス

  こちらは能楽研究所創立60周年記念行事の一つ。近年能楽研究所で進めてきた、文理融合による能の所作研究の目標や成果をお伝えしつつ、日本の伝統芸能である能や狂言の所作について、幅広い視野の中で考えてみようという企画です。古武術の研究家、歌舞伎役者、能役者、本格的な修行を経てヨーロッパで狂言を演ずる外国人、いろいろな立場、視点から語って頂きます。登壇者全員の討議や、会場にお越しのみなさんとの全体討議の時間もあります。
  こちらも入場無料。市ヶ谷キャンパスで一番高いビル、ボアソナードタワーの26階スカイホールが会場です。現在、ポスターやチラシの制作中。チラシができあがり次第、詳しい情報をアップします。どうぞふるってご参加ください。


 
 

2012/09/07

表章先生三回忌

昨日(9月6日)は、本学名誉教授、表章先生の三回忌でした。
表先生は創立以来、長年にわたって能楽研究所の発展に尽力され、御退職後も、われわれの活動を様々な形でサポートしていただいた大恩人です。
表先生がお亡くなりになる前日までお使いになっていた机は、今もそのままにしていますが、三回忌にあたる昨日は、その机の上に表先生のご遺影を飾り、先日刊行された『能楽研究』の表先生追悼号をお供えして、所員の皆でしばし表先生を偲びました。

その表先生が2008年に法政大学でなさった「能楽研究の百年」と題する講義を収録したDVDが近く能楽研究所から発行されます。これはすでにyoutubeでも閲覧ができるようになっていますが(能楽研究所のホームページの下にバナーが出ています)、能楽研究所創立六十周年の記念プレスとして限定発売する予定です。出来上がりましたら、また告知させていただきます。

表先生がお亡くなりになってから早くも二年が経ちますが、研究所でこの映像を見ていると、今でも机の向こうで先生がお仕事に励んでいらっしゃるような錯覚を覚えるから不思議です。