
2011/05/22
よも尽きじ(2)

イシイさんの投稿を見て思い出しました。これは先日、「空海からのおくりもの」を見に印刷博物館へ出かけたおり、ミュージアムショップで買った絵はがきです。明治38年の「引札」(商店の宣伝チラシ)だそうですが、お酒の宣伝といえば、猩々だったのでしょうね。
よも尽きじ(1)
ひょんなご縁で、先日とある方から月岡耕漁『能楽図絵』の「猩々」を頂戴して、ちょっとご機嫌のイシイです。月岡耕漁(1869~1927)は能の舞台絵を描くことを専らとした能画家。浮世絵師の月岡芳年などに師事したことが知られていますが、歌舞伎の役者絵とは違った、木版画でありながらまるで水彩画のような表現は実に魅力的です。
高風という親孝行な酒売りのところへやってきては酒を飲む客がいるが、いくら飲んでも顔色一つ変えない。不審に思った高風が名を尋ねると、その客は、自分は潯陽の海中に住む猩々だと名乗る。高風が潯陽のほとりで酒壺に酒を湛えて待っていると、猩々が海中から姿を現し、孝行な高風を褒め、ほろ酔い気分で舞を舞い、泉のように汲めども尽きることのない酒壺を高風に与えて消えてゆく。これが「猩々」のあらすじですが、耕漁は猩々が楽しげに舞を舞っている様子を上品に描き出しています。
ところでこの「猩々」、よく見ると左隅から誰かが舞台を興味津々で覗き込んでいますね。実はこの人(?)オランウータン。猩々はオランウータンだとする説があるので、耕漁は「リアルオランウータン」を観客として登場させたというわけです。茶目っ気があって素敵ではありませんか!一人でニヤニヤ眺めているだけでは勿体ないので、自分の研究室に飾ってやろうと目下画策中。さてどうやってスペースを作ろうか。
高風という親孝行な酒売りのところへやってきては酒を飲む客がいるが、いくら飲んでも顔色一つ変えない。不審に思った高風が名を尋ねると、その客は、自分は潯陽の海中に住む猩々だと名乗る。高風が潯陽のほとりで酒壺に酒を湛えて待っていると、猩々が海中から姿を現し、孝行な高風を褒め、ほろ酔い気分で舞を舞い、泉のように汲めども尽きることのない酒壺を高風に与えて消えてゆく。これが「猩々」のあらすじですが、耕漁は猩々が楽しげに舞を舞っている様子を上品に描き出しています。
ところでこの「猩々」、よく見ると左隅から誰かが舞台を興味津々で覗き込んでいますね。実はこの人(?)オランウータン。猩々はオランウータンだとする説があるので、耕漁は「リアルオランウータン」を観客として登場させたというわけです。茶目っ気があって素敵ではありませんか!一人でニヤニヤ眺めているだけでは勿体ないので、自分の研究室に飾ってやろうと目下画策中。さてどうやってスペースを作ろうか。
2011/05/20
新・能楽講座Ⅷ-〈鵺〉徹底分析-

能楽研究所では、法政大学エクステンション・カレッジと協力して、能楽講座を開講しています。能楽全般に関する概説的な講座ではなく、毎年1曲を取り上げて様々な方向から掘り下げる講座を、と始めた新シリーズも8年目を迎えました。今年のテーマ曲は〈鵺(ぬえ)〉です。
頭は猿、尾は蛇、手足は虎のようだという化け物の話を聞いたことはおありでしょうか。能〈鵺〉は、『平家物語』に描かれた「頼政の鵺退治」の物語を元にして、世阿弥がその晩年に作ったと考えられています。さすが世阿弥!とうなりたくなる名曲です。
講座は6月11日から7月16日まで、毎週土曜日の午後2時~4時。市ヶ谷キャンパスで行います。
受講者の方(希望者のみ)は、7月30日(土)に、東京青山の銕仙会能楽研修所舞台で行われる「青山能」〈鵺〉の公演を、団体割引3000円でご覧になれます。
定員まで10名ほど余裕があります。どうぞふるってご参加ください。
お問い合わせは 法政大学エクステンション・カレッジまで
03-3264-6098
ホームページからもお申し込み可能です https://www.hosei.org/
山中先生と胡蝶蘭

遅くなりましたが、4月新年度から山中玲子先生が能楽研究所の所長に就任されました。(前任の坂本勝先生、大変おつかれさまでした。)
この書き出しで、先日ブログを書いたのですが、サイトの問題で消滅してしまいました。
なので、再度アップさせていただきます。前回記事をご覧になったみなさま、不審に思われたことと思いますが、そういうわけで、以下の重複投稿をお許しくださいませ。
さて、山中先生の就任をお祝いくださって、然る方がご覧のような豪華な胡蝶蘭を贈ってくださいました。胡蝶蘭に寄り添うのは、今日はぐっとフォーマルなお顔の山中先生です。
震災以来、心晴れない毎日でしたが、このお花の存在がひときわ明るいオーラを放っていて、とても癒されるのです。美しいものが持つパワーは素晴らしいですね~。
ところで、5月も下旬に入ってここのところ夏のような暑さが続いていますね。この夏はどこも節電体制ですが、能研も多分に漏れず鋭意節電中です
申し訳ありませんが、冷房を入れるのはもう少し先になりそうです。我が研究所はタワービル内なので、見晴らしは最高なのですが窓が明かないのが難なんです。(T_T)
閲覧室ご利用のみなさま、どうぞ眼のやり場に困らない程度(?)の軽装でお出でください。また、閲覧室内での飲食は禁止なので、室外でマメに水分補給と休憩をお取り下さいね。
みなさまのご利用をお待ちしております。(^o^)丿
この書き出しで、先日ブログを書いたのですが、サイトの問題で消滅してしまいました。
なので、再度アップさせていただきます。前回記事をご覧になったみなさま、不審に思われたことと思いますが、そういうわけで、以下の重複投稿をお許しくださいませ。
さて、山中先生の就任をお祝いくださって、然る方がご覧のような豪華な胡蝶蘭を贈ってくださいました。胡蝶蘭に寄り添うのは、今日はぐっとフォーマルなお顔の山中先生です。
震災以来、心晴れない毎日でしたが、このお花の存在がひときわ明るいオーラを放っていて、とても癒されるのです。美しいものが持つパワーは素晴らしいですね~。
ところで、5月も下旬に入ってここのところ夏のような暑さが続いていますね。この夏はどこも節電体制ですが、能研も多分に漏れず鋭意節電中です
申し訳ありませんが、冷房を入れるのはもう少し先になりそうです。我が研究所はタワービル内なので、見晴らしは最高なのですが窓が明かないのが難なんです。(T_T)
閲覧室ご利用のみなさま、どうぞ眼のやり場に困らない程度(?)の軽装でお出でください。また、閲覧室内での飲食は禁止なので、室外でマメに水分補給と休憩をお取り下さいね。
みなさまのご利用をお待ちしております。(^o^)丿
2011/05/11
空海からのおくりもの(続)
先日、印刷博物館の企画展示「空海からのおくりもの」の紹介をしました。このたび、法政大学文学部日本文学科サイトでも、同展示の紹介を動画つきで行いましたので、お暇な方はご覧ください。
http://hoseinichibun.blog65.fc2.com/
http://hoseinichibun.blog65.fc2.com/
2011/05/07
能役者・写楽
地震の影響で期間が変更になるなどのアクシデントに見舞われつつも、このゴールデンウィークから東博で「写楽展」が開催されています。なんでも、戦後最大規模(死語?)の展示とのこと。
それに合わせて、NHKが写楽を特集した番組を放送します。放送日は明日日曜日の夜。
http://www.nhk.or.jp/special/onair/110508.html
写楽が能役者斉藤十郎兵衛と同一人物であるという説に従った番組になるようで、番組作成に先立って能研に来られたスタッフの方から、江戸時代の能役者の生活がどうであったのかなど、色々な質問を受けました。
斉藤十郎兵衛が江戸城の能に出演した場面もドラマ仕立てで再現、スタジオに舞台までこしらえて本格的な撮影が行われたそうです。
それに合わせて、NHKが写楽を特集した番組を放送します。放送日は明日日曜日の夜。
http://www.nhk.or.jp/special/onair/110508.html
写楽が能役者斉藤十郎兵衛と同一人物であるという説に従った番組になるようで、番組作成に先立って能研に来られたスタッフの方から、江戸時代の能役者の生活がどうであったのかなど、色々な質問を受けました。
斉藤十郎兵衛が江戸城の能に出演した場面もドラマ仕立てで再現、スタジオに舞台までこしらえて本格的な撮影が行われたそうです。
2011/05/03
ipad2 付『切合能の研究』

年度末、研究所の重要業務(恒例行事?)となっているのは、2、3年前の研究論文などを紹介する『能楽研究』の研究展望作成です。近年は分野別に担当者を決め、所員総出で作成するようになっています。勉強になることも多いのですが、年度末に30本以上の論文を読むのは、結構な重労働で、他所員の進捗状況を気にしながら、青色吐息で仕事にあたっています。
原稿作成ことも大変なのですが、さらに厄介なのは膨れ上がる論文コピーの量!普段から論文や資料で、多くのコピー用紙を抱えているのですが、この時期のカバンの重さときたら…
この状況を打開すべく、以前からipadの購入を考えていましたが、「2」の発売と同時に、とうとう買ってしまいました。大事な本を裁断して「自炊」しようとは思いませんが、論文のコピーや資料の写真をこれで管理できれば、きっと整理整頓が進むのではないかと希望的観測をしています。うまくいったら、一番机が散らかっている所員にも勧めようと思っています。
さて、肝心の『能楽研究』最新号ですが、間もなく刊行となります。今しばらくお待ちください。

最後に個人的な宣伝をさせていただきます。
2月25日に『切合能の研究』を刊行しました。「チャンバラ能」とも称される武士の合戦を描いた能の研究書です。「世阿弥研究だけではわからない能の追究」という大きな問題の一端だけでも明らかになっていればと思っております。是非、ご一読ください。ちょっと値がはりますので、近隣の図書館などへリクエストをお願いします。
ご購入は檜書店へ
http://www.hinokishoten.co.jp/publication/
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