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2012/09/20

世阿弥忌セミナー

少し前のことになってしまいましたが、八月に行われた世阿弥忌セミナーについてのご報告です。

八月八日は世阿弥の忌日にあたるため、毎年その日に合わせて奈良で世阿弥忌セミナーという能楽学会の催しが行われています。

今年は『世子六十以後申楽談儀』をテーマに、研究発表四本と対談があり、能研の山中さんも対談の聞き手として登壇しました。

その対談、「能役者と『申楽談儀』」というタイトルで、観世銕之丞氏が『申楽談儀』に出てくる様々な曲の演じ方についての記事を取り上げ、演者ならではの解釈を披露するという、興味深いものでした。

『申楽談儀』には、節訛りや節扱いに関して、個々の曲に則した実に具体的な記事が多くみられます。けれども、研究者にはなかなか手に負えないこともあって、これまで十分に検討されていません。今回の企画は、『申楽談儀』を読むうえで、そうした演者と研究者との共同研究が不可欠であることを明らかにした点でも有意義だったと思います。欲を言えば、対談形式ではなく、少人数による輪読形式の方が議論が深められたかな、という感もありますが、それは今回の催しではないものねだりというもの。でも、いつか能研でそのような場を提供できればとひそかに考えた次第です。