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2012/07/19

プリンストンからの贈り物

今日の午後の山中ゼミは、いつもと趣向を変えて、アメリカのプリンストン大学から能研に短期留学中のパトリック・シュウェマーさんによる研究発表が行われました。

プリンストン大に所蔵されている新出の舞曲絵巻「相模川」を紹介して、その描写の特徴や製作背景を考察するという内容で、詞書の筆者が朝倉重賢であること、画風から十七世紀後期の作と考えられること、「相模川」を絵巻化した作例としては現存唯一のものであることなど、スライドショーを効果的に使って手際よく、ご報告いただきました。

聴講の学生も興味津々。今回は、文学部の小秋元・伊海両先生のほか、慶應義塾大の石川透先生にも特別においでいただきました。

シュウェマーさんのお話しは「相模川」絵巻にとどまらず、ポルトガルの宣教師が十六世紀末に書いた和訳聖人伝の文体が舞曲調であることなど、広く舞曲の文芸的展開を視野に入れたもので、今後の展望が大きく期待される内容でしのたで、聴講の学生も大いに刺激を受けたようです。
また、シュウェマーさんにとっても、奈良絵巻の第一人者である石川先生から直接アドバイスを受けるいい機会になり、研究発表が終わった後も、しばらく絵巻談義で盛り上がっていました。

シュウェマーさんは九月まで能研の客員研究員として滞在の予定です。これを機に、シュウェマーさんの研究がますます発展することになれば、能研のスタッフとして、こんなにうれしいことはありません。