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2012/01/15

特別展「平清盛」@江戸東京博物館


またもや展覧会のレポートです(笑)。
大相撲初場所をよそに、江戸東京博物館で開催中のNHK大河ドラマ50年特別展「平清盛」を見てきました。

先週から始まった大河ドラマ「平清盛」とのタイアップ企画のようですが、ドラマの話はとりあえず措いておくことにして(笑)。1164年(長寛2年)9月に平清盛が一族の繁栄を願って厳島神社に奉納した『平家納経』33巻(国宝・厳島神社蔵)のうち、清盛の願文と信解品第四・法師功徳品第十九・陀羅尼品第二十六が出ています。2005年の厳島神社国宝展@東京藝術大学美術館でこれを見たときは、とにかく人が多かったという印象しかないのですが、今回はかなりじっくり(もちろん至近距離で)眺めることができました。『平家納経』はこの時代に流行した装飾経で、一部の見返し絵には葦などが生える水辺の景に岩や水鳥など文字をしのばせる「芦手絵」の手法が用いられていることが知られていますが、今回の展示ではそれもしっかり確認することができました。もう大満足。清盛の願文は全て翻刻されており、ありがたいことに現代語訳も付いていて(充実のキャプション!)、全文通して読むとこれが結構胸打たれる内容です。

メインは多分この『平家納経』ではないかと思いますが、平宗盛の消息、伝平重衡所用の七絃琴、平重衡像、平敦盛像、高倉天皇像、小督局像、安徳天皇像そして源頼政像など、能にゆかりの人々にちなんだ出展もいろいろ。西行像や西行消息も出ています。『平家物語絵扇面散らし屏風』も見事。個人的には〈生田敦盛〉とも関係がある『小敦盛絵巻』を楽しみにしていたのですが、展示されていたのは前半の熊谷が敦盛の首を討とうとしている場面で、わたしの期待していた敦盛と若君の再会シーンではありませんでした。それだけがちょっと残念(笑)。でも、本当に見どころ満載の展示でした!図録は言うに及ばず、平家納経の絵はがきやら一筆箋やらあれこれ大人買いしてしまって、ちょっと大変なことになりましたけど・・・。

2012/01/10

能面と能装束―神と幽玄のかたち―




年が明けてあっと言う間に十日も経ってしまいましたが、三連休最後の昨日、三井記念美術館で開催中の「三井家伝来 能面と能装束―神と幽玄のかたち―」をようやく見に行くことができました。平成20年度に国の重要文化財として一括指定された旧金剛宗家伝来能面54面をはじめ、面打師の橋岡一路氏からこの度寄贈されることとなった能面8面に謡本(元和卯月本)を加え、楽器や能装束も展示されている、非常に贅沢な展示です。

展示室は

・囃子の楽器と謡本(能管・鼓胴、元和卯月本、光悦謡本、能絵歌留多)
・面箱
・茶道具の取り合わせ(茶室の設えをそのまま再現)
・神々のかたち(翁面、尉面、鬼神面)
・幽玄のかたち(男面、女面)
・橋岡一路氏新寄贈品
・能装束(辰年にちなんで龍文様の装束が幾つか。同じく龍つながりで?〈道成寺〉の装束も。あ、でもこれは龍じゃなくて蛇か)

というテーマで陳列されており、比較的ゆったりと見ることができるようになっています。三井家の能面は新井薬師の三井文庫時代にも見に行ったことがありますし、こちらの美術館でも開館記念特別展などでお目に掛かってはいるのですが、それでもやはり龍右衛門作の「花の小面」(私は親しみを込めて「花ちゃん」と呼んでいます)や「孫次郎」(同様に「オモカゲさん」)を見ると、久しぶりに顔なじみに会ったような懐かしさを覚えるのです。彼女らが舞台に立ったところを見てみたいなあ、どんな曲が似合うかなあ・・・などと妄想するのもまた楽し(笑)。

会期は今月28日までです。花ちゃんとオモカゲさん以外にもバラエティ豊かな能面たちがお出迎えしてくれます。お気に入りの面を探しに足を運んでみてはいかがでしょう。併設のミュージアムショップも楽しいし、カフェのケーキも美味しいですよ!

2012/01/01

謹賀新年

新年明けましておめでとうございます。
昨年は、東日本大震災、台風の災害など、悲しいできごとの多い年でした。「天下泰平国土安穏、今日のご祈祷なり」という翁の文句がこれほど胸に響いたことはありませんでした。
新しい年は、少しでも前に進んでいけるよう、幸多い一年になりますよう、祈りたいと思います。
皆様にとっても、素晴らしい一年になりますように。

今年は能楽研究所の創立60周年に当たります。春・秋の展示、シンポジウムなど、さまざまな記念行事を計画していますし、また、長らく刊行が途絶えていた鴻山文庫の資料解題も、なんとか刊行したいと思っています。今年も、能楽研究所をどうぞよろしくお願いいたします。