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2011/10/30

ウズベキスタンの語り物




皆さん、こんにちは。久しぶりの書き込みです。

10月30日(日)に筑波大学で行われた「ウズベキスタン・日本学生学術フォーラム2011」に出かけてきました。ウズベキスタンから留学している人文社会科学系の大学院生と、中央アジアを研究対象としている日本の大学院生による研究発表が25本近く行われました。

法政大学からは博士後期課程2年のハルミルザエヴァ・サイダさんが、「ウズベキスタンと日本の語り物に関する比較研究―口頭的構成法と語り物の教習方法―」と題する発表を行いました。ウズベキスタンには「ドストン」という語り物があるのですが、芸能の継承は今でも口頭重視でなされているそうです。教習では韻律を保った定型句の伝授に重点が置かれるのですが、あとは即興的な能力を伸ばすことが大事とされているとのことです。

即興性、定型句、詞章の固定化/流動化・・・・・・といったテーマは、日本の語り物を考えるときにも、とても重要な問題であることを再認識する発表でした。

2011/10/25

能楽セミナーが始まりました



今年から能研の主催で行うことになった能楽セミナーが昨日から始まりました。




初回は特別講演として中国古典演劇史の世界的権威でいらっしゃる田仲一成先生(東京大学名誉教授)をお招きし、「日本の式三番・鬼能に当たる芸態は中国にかって存在したか」というタイトルでお話しいただきました。



中国江西省の山間部には古い仮面劇がいくつも伝わっていて、そこには能の「式三番」と同じような翁も登場するそうです。けれども、両者の性格は大きく違うということでした。



少しご紹介すると、「天下泰平国土安穏」を祈願する能の「翁」に対して、中国の翁は、街のおまわりさんのように、限られた地域の安全を守る最下層の土地神に過ぎないこと。そうした違いは中国の権力一極集中型の国家体制とも関係していて、国家泰平を祈願する権利は中国では皇帝にのみ許されていたこと、などなど。他にも興味深い指摘が多くありました。



最近は日本各地の民俗芸能を精力的に見て回っておられるそうで、今なお新しいテーマに取り組まれる旺盛な研究意欲に圧倒されっぱなしでしたが、来年で八十歳を迎えるとは思えない若々しさの秘密も、きっとこんなところにあるのでしょう。



能楽セミナーは来週にも、そして十一月にもあります。ご都合がつきましたら、ぜひご参加いただければと思います。

2011/10/23

日曜日の能研




能楽研究所は土日閉室なのですが、今日の日曜日は父母懇談会があり、専任所員・事務とも通常通り出勤しております。


父母懇談会での能研案内は恒例行事として毎年この時期に行っていて、今日は午前二回、午後二回の計四回、能研の活動と所蔵資料について簡単な説明をし、会議室に並べられた貴重な資料を父母の方々(昔は父兄といいましたが、今は使われないのですね)にご覧いただきました。


光悦謡本、弘化勧進能絵巻、そして、最近能研の所蔵となり、今回初公開となる能絵鑑など、見栄えのする資料を何点も出しましたが、ここでの一番人気は三年ほど前に能面作家の小熊正氏から寄贈いただいた能面たちでした。





小面から深井になると、こんなふうに顔が老けていくのですよ、などといったところに皆興味津々。やはりモノが実際にそこにあるというのは効果絶大です。



あらためて寄贈者の小熊さんに感謝した次第です。